特別児童扶養手当には所得制限があり、「うちは対象になるのか、ならないのか」を自分で計算しようとすると、控除の種類も加算のルールも複雑で、正直心が折れそうになります。
この記事では、実際にくらげ父さんが行っている計算方法を、数字を入れながら丸ごと公開します。同じように「自分で計算してみたいけど、どこから手をつけていいかわからない」という方の参考になれば嬉しいです。
⚠️ 本記事の数字は制度・年度によって変わることがあります。実際の判定は必ずお住まいの自治体窓口でご確認ください。
実は以前、「所得制限を超えているため対象外です」という通知が届いたことがあります。「では、いくら削れば対象内に戻るのか」を自分で計算してみたところ、なぜか実際の超過額と10万円ちょうど合いませんでした。行政に確認したところ、担当窓口の方も即答できず、折り返しの連絡で「老人扶養親族がいると10万円分マイナスが多く入るため」と教えてもらいました。この経験から、この記事の計算式には制度の裏付けを取った上での自信があります。とはいえ、細かい条件は年度や自治体によって変わることもあるので、実際の判定は必ずご自身でも窓口にご確認ください。
それにしても、通知には「対象外です」とだけ書かれていて、「いくらオーバーしているか」までは教えてくれません。おそらく「10円オーバーしていて対象外」のような境界線ギリギリのケースまで具体的な数字を出してしまうと、理不尽な制度に理不尽な発狂クレームを市役所に入れる人がいるからでしょうか。だからこそ、自分で計算できる術を持っておく価値があると思っています。
目次
- そもそも所得制限とは
- 扶養人数別の所得制限限度額
- 所得から引ける控除の一覧
- 限度額に足される加算のルール
- 【実例】くらげ家で計算するとこうなる
- 対象外までの余裕額がマイナスになってしまったら
- 補足:ほぼ出番のない「6万円」ルール
そもそも所得制限とは
特別児童扶養手当は「収入」ではなく「所得」で判定されます。年収そのものではなく、そこから経費や各種控除を引いた後の金額で見られる、という点がまず1つ目のポイントです。
判定は大きく分けて2種類あります。
- 請求者本人の所得
- 配偶者・扶養義務者の所得
どちらか一方でも限度額を超えると、手当は支給されません(1円でもオーバーすると全額カットという、あの理不尽な仕組みです)。
⚠️ さらに理不尽なのが、夫婦合計の世帯年収ではなく、請求者本人(原則、収入の多い方)1人の所得だけで判定されるという点です。例えば「夫700万・妻0円」の世帯と「夫500万・妻500万」の世帯を比べると、世帯年収は後者の方が300万円も多いのに、判定される所得は前者(700万円)の方が高くなり、対象外になりやすくなります。共働きで収入を分散できる世帯ほど有利、片働きの世帯ほど不利という、なんとも理不尽な構造です。
扶養人数別の所得制限限度額
| 扶養人数 | 請求者本人 | 配偶者・扶養義務者 |
|---|---|---|
| 0人 | 4,596,000円 | 6,287,000円 |
| 1人 | 4,976,000円 | 6,536,000円 |
| 2人 | 5,356,000円 | 6,749,000円 |
| 3人 | 5,736,000円 | 6,962,000円 |
| 4人 | 6,116,000円 | 7,175,000円 |
| 5人 | 6,496,000円 | 7,388,000円 |
| 以降1人増すごと | +380,000円 | +213,000円 |
ここでいう「扶養人数」は、税法上の扶養親族の人数です。配偶者がいても、配偶者自身に一定以上の収入があれば控除対象配偶者にならず、扶養人数にはカウントされません。
ちなみに、くらげファミリーは父(会社員)・妻(所得を扶養の範囲内に収めている)・長男(障がい児)・次男の同居4人家族で、これに加えて別居の母(70歳以上)を扶養に入れています。扶養人数としてカウントされるのは妻・長男・次男・母の4人なので、表の「4人」の行(6,116,000円)が基準になります。実例部分では、この基準額に母の70歳以上の加算などを加えて計算していきます。
ポイントは、妻の所得を「配偶者として扶養に入れられる範囲(所得ベースで一定額以下)」に収めていることです。
所得から引ける控除の一覧
⚠️ 特別児童扶養手当の所得計算で使える控除は、住民税・所得税の控除とは別枠のルールです。ここが一番間違えやすいポイントで、生命保険料控除・地震保険料控除・一般の扶養控除・基礎控除はこの手当の所得計算では使えません。
| 控除の種類 | 控除額 |
|---|---|
| 障害者控除 | 27万円 |
| 特別障害者控除 | 40万円 |
| 勤労学生控除 | 27万円 |
| 寡婦控除 | 27万円 |
| ひとり親控除 | 35万円 |
| 雑損控除・医療費控除・小規模企業共済等掛金控除(iDeCoなど)・配偶者特別控除 | 控除相当額 |
さらに、給与所得または公的年金等の所得がある場合は、その合計額から一律10万円が控除されます。
💡 おすすめポイント
2026年12月から、iDeCoの掛金上限が引き上げられます(反映は2027年1月拠出分から)。会社員・公務員は月2万3,000円前後だった上限が月6.2万円、自営業の方は月6万8,000円から月7.5万円まで拠出できるようになります。iDeCoの掛金は全額が「小規模企業共済等掛金控除」としてこの手当の所得計算にも使える数少ない制度なので、余裕額に不安がある方は、この改正もあわせて活用いただければと思います。
限度額に足される加算のルール
ここまでの「控除」は所得そのものを減らす仕組みですが、これとは別に限度額(対象になれる上限)を引き上げる加算もあります。仕組みが違うだけで、結果的にどちらも「余裕を作る」効果は同じです。
| 加算の対象 | 加算額 |
|---|---|
| 本人:特定扶養親族(19歳以上23歳未満)または16歳以上19歳未満の控除対象扶養親族
(要は申請(認定請求)の対象となる年の12月31日時点の年齢16歳〜22歳の扶養親族がいればってこと) |
1人につき+25万円 |
| 本人:老人控除対象配偶者・老人扶養親族(70歳以上) | 1人につき+10万円 |
| 配偶者・扶養義務者:老人扶養親族 | 1人につき+6万円 |
【実例】くらげ家で計算するとこうなる
実際にくらげ家(同居4人家族:父・会社員/妻・所得を扶養の範囲内に収めている/長男・障がい児/次男)のケースで計算してみます。ここではさらに、別居している父の母を扶養に入れているものとして計算します。父の母は70歳以上かつ障がい者手帳を持っている、いわば「老人障がい者」にあたります。
💡 おすすめポイント
同居していなくても、仕送りなどで生計を維持している実態があれば、税法上の扶養親族として扱えます。「別居だから扶養に入れられない」と思い込まず、まず要件を確認する価値があります。
また、この父の母は「障がい者」と「老人(70歳以上)」の両方に該当しますが、この2つは別カテゴリの扱いなので両方同時に適用できます。障害者控除(27万円)は所得から差し引く控除、老人扶養親族の加算(10万円)は限度額側に足す加算で、性質が違うため重複しても問題ありません。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 給与所得(仮に700万円とした場合。不動産所得合算後の例) | 7,000,000円 |
| 固定控除額(社会保険料相当額) | ▲80,000円 |
| 給与所得がある場合の一律控除 | ▲100,000円 |
| 長男 障害者控除(特別障害者) | ▲400,000円 |
| 母 障害者控除 | ▲270,000円 |
| 小規模企業共済等掛金控除(iDeCo) | ▲276,000円 |
| 老人扶養親族加算相当額(母70歳以上) | ▲100,000円 |
| 控除額合計 | 1,226,000円 |
| 控除後所得額 | 5,774,000円 |
| 対象限度額(扶養4人・本人) | 6,116,000円 |
| ✅ 対象外までの余裕額 | 342,000円 |
💡 おすすめポイント
「老人扶養親族」の加算は本来は限度額側に足すルールですが、所得側から同じ金額を引いても比較結果は同じになります。控除項目としてまとめて計算した方が、シンプルに管理できます。
対象外までの余裕額がマイナスになってしまったら
計算してみて、この「余裕額」がマイナスになってしまうこともあると思います。そんなとき、不動産を所有している方であれば、その年のうちに必要な修繕・設備交換を前倒しで行うのも、合法的な対応の一つです。
例えば、こんな経費が該当します。
- エアコンの交換
- 給湯器の交換
- その他、いずれ必要になる修繕・設備更新
これらは実際に不動産を維持していく上で、いつかは必ず発生する費用です。「どうせ交換するなら、所得を圧縮できるタイミングで行う」という考え方は、無理な節税ではなく、必要な支出を計画的に前倒ししているだけなので、くらげ父さんも実際にこの方法で対応しています。
💡 おすすめポイント
制度自体が変わらない以上、文句を言うより先に、今の制度の中で合法的にできることをやる。これがくらげ家の基本スタンスです。
補足:謎の「6万円」ルール
限度額の加算ルールの中に「配偶者・扶養義務者に老人扶養親族がいる場合、1人につき6万円加算」という規定があります。本人側の10万円加算と混同しやすいのですが、これは本人ではなく、同居する扶養義務者(祖父母・兄弟姉妹など)自身が、さらに別の高齢者を扶養しているケースにだけ発動する加算です。
例えば三世代同居で、請求者の父(扶養義務者)が、請求者とは別に自分の母(請求者から見て祖母)を扶養に入れている場合などが該当します。ただし通常は、こうしたケースでも請求者本人がまとめて家族を扶養に入れることが多いため、この6万円ルールが実際に発動する場面はかなり限られます。
正直なところ「この6万円ルールが発動する家庭、本当にあるのか?」と思ってしまうくらいレアケースです。というのも、同じ「祖母を扶養に入れる」という行為でも、扶養義務者側の扶養として計算するより、請求者本人が自分の扶養に入れてしまった方が、限度額への影響がずっと大きいからです。
例えばくらげ家に当てはめると、もしくらげ父さんが弟1人・祖母(70歳以上)1人をあわせて自分の扶養に入れた場合:
| 項目 | 増加額 |
|---|---|
| 扶養人数+2人分の基本加算(1人につき38万円) | +760,000円 |
| 祖母が老人扶養親族に該当(70歳以上) | +100,000円 |
| 本人の限度額が増える額(合計) | +860,000円 |
これに対して「6万円ルール」で得られるのは、老人扶養親族1人につき最大6万円だけです。同じ「祖母を扶養する」という行為でも、誰の扶養として計算するかで、約14倍の差が生まれます。扶養の組み方に選択の余地があるご家庭は、まずこちらを検討する価値があります。
6万円ルールに頼るくらいなら、扶養の組み方を見直した方が早い、というのが結論です。ただ、正直なところこの6万円ルールについては自分の理解にそこまで自信があるわけではないので、もし「それは違う」という方がいらっしゃいましたら、ぜひコメントまたはお問い合わせフォームで教えてください。必要に応じて修正致します。
理不尽な制度に真正面からぶつかって消耗するより、合法的な範囲でしたたかに立ち回った方がいい。これはこの記事に限った話ではなく、くらげ父さんが大事にしている考え方でもあります。よかったらこちらの記事もあわせてどうぞ。
気に入った記事があったら、Amazonでのお買い物をこちらのリンク経由でしていただけると、購入金額は変わらずに「投げ銭」のような形でくらげ父さんの応援になります。いつもありがとうございます🪼
※本記事の控除額・限度額・加算ルールは執筆時点の情報です。制度は改正されることがあるため、実際の判定については必ずお住まいの市区町村の窓口でご確認ください。
くらげ父さん、今日も漂流中


コメント