NISA・iDeCoの枠を使い切った後、投資に回すお金の置き場所として一般口座(オルカン)とSOVANIを利回り・経過年数別に比較した記事を書きました。年間84,000円(月7,000円、生命保険料控除がちょうど頭打ちになる金額)を20年間積み立てるケースで試算すると、控除が効く範囲では両者はほぼ互角、という結論でした。
ただ、この「ほぼ互角」という数字の話とは別に、SOVANIについてくる生命保険機能は、実際どこまで頼りになるのかという疑問が残ります。今回はそこを掘り下げてみます。
📌 少し長い記事になってしまったので、忙しい方は下の色つきの枠だけ読んでいただければ、結論はつかめるようにしています。
ここだけ読めばOK|くらげ父さんとしての結論
生命保険は基本的に不要というスタンスなので、生命保険料控除枠を超えてまで生命保険に加入することはしません。その控除枠の中で選ぶ商品も、生命保険の機能より運用益を優先したいのでSOVANIを選んでいます。もし生命保険の機能そのものを優先したいという人であれば、ドル建て終身保険の方が向いているのではないかと考えています。理由は3行でまとめるとこうです。
- SOVANIの死亡給付金には最低保証がなく、死亡時点の積立金額がそのまま支払われるだけ。保険機能は「相続税の非課税枠」と「受取の速さ」程度にとどまる(事故・所定の感染症による死亡の場合のみ1.1倍になるケースも)
- 目標額そのものを確保したいなら、SOVANIより学資保険(死亡時の保険料払込免除つき)の方が向いている
- 保険機能もちゃんと欲しく運用益も狙いたいなら、SOVANIより最低保証付きのドル建て終身保険の方が向いている(ただし生命保険料控除の枠は共有)
目的が決まった資金(大学資金など)で考えるなら
ここまでは「純粋な損得(期待値)」だけを見てきましたが、実際にはその資金を何のために取り崩すかという軸も無視できません。特に「子どもが生まれたタイミングで積み立てを始めて、20年後に大学資金として取り崩す」というような、使い道と時期が最初から決まっているお金の場合です。
ここで気になるのが、SOVANIについてくる生命保険機能です。SOVANIの死亡給付金には最低保証がありません。死亡給付金は「死亡日時点の積立金額(=その時点までの運用結果)と同額」で、運用実績が悪ければ、7年分・15年分といった払込保険料の合計額を下回ることすらあります。「7年目で死んでも、20年後まで保険会社が積み立てを続けて目標額を届けてくれる」というのは学資保険の「保険料払込免除」の仕組みであって、SOVANIにはこの機能自体がありません。契約は死亡した時点で終了し、そこまでの運用結果がそのまま給付されるだけです(例外として、不慮の事故や所定の感染症による死亡の場合のみ「積立金額×1.1倍」の災害死亡給付金になります)。
では、SOVANIの「保険機能」はどこにあるのかというと、金額の保証ではなく、税務・手続き面のメリットだと理解するのが正確です。
- 相続税の非課税枠が使える:死亡給付金は生命保険と同じ扱いで、「500万円×法定相続人の数」までは相続税が非課税になります。一般口座(オルカン)の資産にはこの非課税枠はありません
- 受取人に直接、迅速に届く:指定した受取人にそのまま支払われるため、遺産分割協議を待たずに受け取れます。一般口座の資産は相続財産全体に含まれ、他の相続人との話し合いが終わるまで動かせないことがあります
「途中で死んでも目標額まで積み立てが完了している」という安心感は、残念ながらSOVANIにはありません。あるのは「その時点の運用結果を、非課税枠を使って、受取人にすぐ渡せる」という機能です。これはこれで意味のある機能ではありますが、大学資金のように金額そのものを確保したいという目的に対しては、思ったより頼りにならない、というのが正直なところです。
もう一つ、大学資金として考えるときに大事なのが「満期」の有無です。SOVANIには、実は学資保険のような固定の満期という概念がありません。年金支払開始日(年金を受け取り始める日)は設定・変更できますが、変更後の被保険者の年齢が50〜95歳の範囲という制約があります。一方で、この年金支払開始を待たずにいつでも解約して解約返戻金を受け取ることも可能です。つまり、「もし20年後にたまたま相場が悪かったら、解約せずにそのまま持ち続けて回復を待つ」という選択ができるということです。これは一般口座(オルカン)もまったく同じで、そもそも満期がないので、相場が悪ければ単純に売らずに持ち続ければいい、という点は共通しています。
この点で、学資保険は仕組みが違います。
- 元本確保+わずかな利子で、満期時の受取額そのものが確定している
- 多くの商品に「保険料払込免除」(契約者が亡くなったら以降の保険料は免除され、満期金は満額受け取れる)がセットになっている
そのぶん学資保険は、満期が固定されている(多くは18歳・22歳などの節目)ので、「相場が悪いからもう少し待とう」というタイミングの融通は利きません。つまり学資保険は「死亡時の払込免除による受取額の確定」という、SOVANIにはない役割を持っていますが、タイミングの自由度とはトレードオフの関係にあります。3つを並べるとこうなります。
| タイミングの融通 | 金額の確定 | 元本割れの可能性 | |
|---|---|---|---|
| 一般口座(オルカン) | 自由(いつまでも持ち続けられる) | 確定しない | あり(相場次第でいつでも) |
| SOVANI | 自由(解約タイミングを選べる) | 確定しない | あり(死亡時・解約時とも積立金額次第。相続税の非課税枠は使える) |
| 学資保険 | 融通が利きにくい(満期固定) | 確定している | なし(満期まで持てば元本確保が一般的。ただし途中解約の場合は元本割れすることがある) |
学資保険の「元本割れなし」は、あくまで満期まで持った場合の話です。加入初期に解約すると、多くの学資保険でも元本割れします。「決めた満期まで持ち切る」という前提での安心感、という点は補足しておきます。
逆に、一般口座(オルカン)は「いつ売っても、ペナルティのようなものが一切ない」のが大きなメリットです。解約控除や違約金といった仕組みはなく、売りたいタイミングで、その時の基準価額(レート)でそのまま売却できます。SOVANIのように「早期解約だと費用が余計にかかる」といった制約もありません。この身軽さは、学資保険はもちろん、SOVANIと比べても一般口座ならではの強みだと思います。
ここで「じゃあ20年も続けずに、運用実績がいいタイミングで早めに解約すればいいのでは」と思う方もいるかもしれません。ただしSOVANIには解約控除という仕組みがあり、契約からの経過年数が短いほど、解約時に積立金額から一定割合が差し引かれます。くらげ父さんの記憶では、たしか契約から5年くらいまでは解約控除がかかると言われた気がしますが、正確な年数や料率は商品・契約時期によって異なるようなので、気になる方は契約時の「ご契約のしおり・約款」で確認することをおすすめします。つまり、運用実績が良いタイミングだけを狙って短期間で解約する、という動きにはこの解約控除がブレーキとしてかかってきます。この点も、一般口座(オルカン)が「いつでもペナルティなし」なのとは対照的なポイントです。
- 絶対に大学資金として使う、絶対に元本割れさせたくないなら → 学資保険(受取額が確定、死亡時の払込免除もセット)
- 運用リターンを狙いつつ、万一の際は非課税枠を使って受取人にすぐ渡せるようにしておきたいなら → SOVANI(金額の保証はないが、相続税の非課税枠・受取の速さというメリットがある)
- 万一の保障は他(生命保険や貯蓄)でカバーできていて、純粋にリターンだけ最大化したいなら → 一般口座オルカン(保険機能なし、その代わりコストは最安)
「損得だけならこっち」という話と、「目的が決まったお金をどう置くか」という話は、実は別の軸なのだと思います。くらげ父さん自身は学資保険にもSOVANIにも加入していますが、振り返ってみると、この2つの軸を最初からきちんと切り分けて考えられていたわけではなかったな、と今回の記事を書きながら感じました。
「保険をおまけで考えたくない」人の考え方
ここまでは基本的に「投資が本体、保険はおまけ」という前提で見てきました。ただ、生命保険を主目的として欲しい人にとっては、比較の物差し自体が変わってきます。
保険を主目的にするなら、SOVANIのコスト(前取り3%+維持費用年率1.2%など)は「投資商品としての損」ではなく「保障を得るための保険料」として捉えることになります。この視点で見ると、素直な比較相手はもはや一般口座(オルカン)ではなく、定期保険や収入保障保険といった掛け捨て型の生命保険になります。そして、単純な掛け捨て型の生命保険と比べると、SOVANIは同じ保険料でずっと小さな保障しか用意できないのが一般的で、割高な保障になりやすいというのが実態です。つまり「保障が主目的で、まとまった金額を安く確保したい」という人であれば、素直には「掛け捨て保険+一般口座オルカン」の組み合わせの方が、保障もリターンも効率が良くなると考えます。
前述の通り、SOVANIの死亡給付金には最低保証がなく、死亡日時点の積立金額(運用結果)がそのまま支払われるだけです。「積立の進捗に応じた保障」という積立連動型の安心感を求めるなら、SOVANIではなく、学資保険の「保険料払込免除」(死亡後は保険料が免除され、目標額そのものが満額支払われる)の方が、実際にその役割を果たしてくれます。SOVANIで得られるのは、あくまで「死亡時点の運用結果を、相続税の非課税枠を使って、受取人にすぐ渡せる」という機能にとどまる、というのが正確なところです。
つまり「保険をおまけで考えたくない」人は、SOVANIではない方がいいというのが率直な結論です。保険を主目的にするなら、SOVANIではなく定期保険や収入保障保険といった、保障そのものに特化した保険を検討することをおすすめします。SOVANIはあくまで「投資が本体、保険はおまけ」という位置づけで考える商品だと思ってください。
ちなみに、「保険機能もちゃんと欲しいし、運用益も狙いたい」という人向けには、ドル建て終身保険という選択肢もあります。SOVANIと違って、死亡保険金に最低保証がついているタイプが多く、終身(保険期間の定めなし)で保障が続くのも特徴です。ドルは円より予定利率が高く設定される傾向があるため、円建ての終身保険よりも死亡保険金の最低保証額を手厚く設定しやすい、という背景があります。つまりこちらは、SOVANIのような「保険はおまけ」ではなく、「保険機能+運用益」の両方を実際に狙える商品だと言えそうです。2026年時点でも各社から普通に販売されており、引き続き人気があるようです。ただし為替変動リスクは避けられず、受け取る保険金や解約返戻金の円換算額が契約時より目減りする可能性もあります。また、最近は円建ての個人向け国債の金利も上がってきているため、「外貨建てなら何でも有利」というほど単純ではなくなってきている点も補足しておきます。
SOVANIとドル建て終身保険を並べて整理すると、こうなります。
| SOVANI | ドル建て終身保険 | |
|---|---|---|
| 保険機能 | 死亡給付金に最低保証なし(積立金額そのまま。事故等のみ1.1倍) | 死亡保険金に最低保証あり、終身保障 |
| 運用の仕組み | 市場連動の変額(株式・債券等)、元本割れリスクあり。期待リターンは高くなりうる | 予定利率ベースの積立、より安定的 |
| 為替リスク | 選ぶ特別勘定によるが、契約自体は円建て | 契約そのものがドル建てで為替リスクを直接負う |
| コストの透明性 | 前取り3%+年率1.2%等、明確に開示 | 予定利率に費用が織り込まれ、やや見えにくい |
| 解約時のペナルティ | 解約控除(契約から数年程度、逓減) | 解約控除に加え、商品によっては「市場価格調整」(解約時の市場金利で増減)もつく |
| 生命保険料控除 | 一般生命保険料控除(上限4万円) | 同じく一般生命保険料控除(上限4万円)※SOVANIと同じ枠 |
ここで一つ注意が必要です。SOVANIは「変額個人年金保険」という名前ですが、実際の控除区分は個人年金保険料控除ではなく一般生命保険料控除です(個人年金保険料控除の対象になるには、年金額が確定しているなどの税制適格特約の要件を満たす必要があり、運用実績で受取額が変動する変額タイプはこの要件を満たさないためです)。ドル建て終身保険も同じく一般生命保険料控除の対象なので、SOVANIとドル建て終身保険は控除の枠(上限4万円)を取り合う関係にあります。すでにSOVANIで年84,000円払って控除を使い切っている場合、ドル建て終身保険を追加しても控除メリットは増えない、という点は押さえておく必要があります。
整理すると、運用のリターンだけを求めるなら一般口座(オルカン)、保険機能付きの資産形成を求めるなら、SOVANIよりドル建て終身保険の方が、保険としての実質は上だと思います。ただし控除枠は共有なので、両方に少しずつ入れば控除が増えるわけではない、という点は覚えておいてください。
まとめ
- SOVANIの死亡給付金には最低保証がなく、死亡時点の積立金額がそのまま支払われるだけ(事故・所定の感染症による死亡のみ1.1倍)
- SOVANIの保険機能は、実質「相続税の非課税枠」と「受取の速さ」程度にとどまる
- 目標額そのものを確保したいなら、SOVANIより学資保険(死亡時の保険料払込免除つき)の方が向いている
- 保険を主目的にしたいなら、SOVANIより定期保険・収入保障保険、あるいは最低保証付きのドル建て終身保険の方が向いている
- ただし「ドル建て終身保険が一方的に優れている」わけではない。保障の確実性は終身保険が上だが、運用面は市場連動のSOVANIの方が伸びる可能性がある。無告知で入れる点もSOVANIならではの利点
- ただし生命保険料控除の枠(上限4万円)はSOVANIとドル建て終身保険で共有。両方に入っても控除は増えない
- 数字面(利回り・経過年数による損得)の比較は、前編の記事で詳しく整理しています
今回の内容を一言でまとめると、SOVANIはNISA・iDeCoを使い切った後の選択肢と考えるのが妥当です。使い切る前に選ぶ理由は乏しく、保険機能も「事故・所定の感染症限定で1.1倍」程度にとどまります。もし生命保険としての機能そのものが欲しく、かつ運用益も狙いたいということであれば、SOVANIよりも、最低保証付きの死亡保険金がついてくるドル建て終身保険のような商品の方が向いていそうです。ただし、これは「保障の確実性」を優先した場合の話です。保障はおまけでよく、運用でできるだけ増やしたいということであれば、市場連動で伸びしろのあるSOVANIの方が向いている場合もあり、「ドル建て終身保険なら何でもSOVANIに勝る」というわけではありません。健康状態の告知が不要な点も、SOVANIならではの利点です。
※本記事は2026年7月時点で公開されている制度や、くらげ父さん自身の理解・簡易的な試算をもとに作成しています。実際の運用成績・税率・商品の費用体系によって結果は変わりますので、個々の判断にあたっては必ず最新の公的情報や目論見書、専門家にご確認ください。
くらげ父さん、今日も漂流中🪼


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